改正雇用保険法等が成立
雇用保険法、職業安定法など労働関係の4法を一括改正する改正雇用保険法等が、3月31日の参議院本会議で原案通り可決、成立した。
「雇用保険法等の一部を改正する法律案」は、今年1月31日に閣議決定され、同日、国会に提出された。
法案は、雇用保険法、職業安定法、労働保険徴収法、育児・介護休業法を一括改正する内容となっている。
国会での審議は、3月7日の衆議院本会議で法案の趣旨説明・質疑を行い、その後、法案は厚生労働委員会に付託され、本格的な審議に入った。そして、3月15日の同委員会で与党などの賛成多数で原案通り可決、翌16日の同院本会議で同様に可決し、参議院へ送られた。
参議院では、3月17日の本会議で法案の趣旨説明と質疑を行い、その後、同院厚生労働委員会で審議され、同30日の質疑終了後採決され、賛成多数で原案通り可決、翌31日の本会議で可決、成立した。
改正法の概要は以下の通り。
【雇用保険法等の一部を改正する法律】
(1)雇用保険法の改正
①賃金日額を引き上げるほか、賃金日額が最低賃金額を下回らないこととする。
②30歳以上45歳未満の者の所定給付日数を引き上げる。
③給付日数の延長の時限措置につき、一部を恒久措置とし、一部を延長する。
④移転費の支給対象に特定地方公共団体等の紹介により就職する場合を追加する。
⑤教育訓練給付の最大給付率を引き上げる。
⑥失業等給付に係る国庫負担率を時限的に引き下げる。
(2)職業安定法の改正
①労働契約を締結しようとする場合であって職業紹介時等に明示した労働条件を変更する場合等に、求人者等に、
求職者等への変更内容等の明示を義務付ける。
②公共職業安定所等における不受理求人に、暴力団員によるもの等を追加する。
③職業紹介事業者に、その紹介により就職した者の数等の公表を義務付ける。
④新たに、募集情報等提供事業を行う者について、業務運営の改善向上を図るため必要な措置を講ずる旨の
努力義務を課すなど規制対象とする。
⑤求人者等への勧告制度の導入、報告徴収の対象への追加等、規制を強化する。
⑥虚偽の条件を提示した求人者を罰則の対象とする。
(3)労働保険の保険料の徴収等に関する法律の改正
失業等給付に係る保険料率を時限的に引き下げる。
(4)育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正
①育児休業について一定の場合に2歳まで取得することを可能にする。
②事業主に、対象労働者に対する個別の制度周知の努力義務を課す。
③事業主に、育児目的のために利用できる休暇を設ける努力義務を課す。
(5)施行期日
平成29年4月1日(ただし、(1)の①は同年8月1日、(4)は同年10月1日、
※(1)の④、⑤、(2)の①、③、④、⑤及び⑥は平成30年1月1日、(2)の②は公布日から3年以内の政令で定める日 等)