改正育児・介護休業法等が成立
子の出生時直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みを創設するなどを主な内容とした改正育児・介護休業法等が6月3日の衆議院本会議で可決、成立した。
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案」は、今年2月26日閣議決定され、同日、国会に提出された。
法案は、4月6日に参議院で審議入りし、同15日の同院厚生労働委員会において全会一致で原案通り可決、翌16日の同院本会議で同様に可決、衆議院へ送られた。
衆議院では、5月26日に審議入りし、6月2日の同院厚生労働委員会において全会一致で原案通り可決、翌3日の同院本会議で同様に可決、成立した。改正法の概要は以下の通り。
【育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律】
1.男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休 業の枠組みの創設
子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる柔軟な育児休業の枠組みを創設する。
(1)休業の申出期限については、原則休業の2週間前までとする
(2)分割して取得できる回数は2回とする
(3)労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の合意により、事前に調整したうえで休業中に就業することを可能とする
2.育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認措置の義務付け
(1)育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置
(2)妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対して事業主から個別の制度周知及び休業の取得意向の確認のための措置を講ずることを事業主に義務付ける
3.育児休業の分割取得
育児休業(上記(1)の休業を除く)について分割して2回まで取得することを可能とする。
4.育児休業の取得の状況の公表の義務付け
常時雇用する労働者数が1000人超の事業主に対し、育児休業の取得の状況について公表を義務付ける。
5.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち、「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることという要件を廃止する。
ただし、労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することを可能とする。
6.育児休業給付に関する所要の規定の整備
(1)上記1及び3の改正を踏まえ、育児休業給付についても所要の規定を整備する
(2)出産日のタイミングによって受給要件を満たさなくなるケースを解消するため、被保険者期間の計算の起算点に関する特例を設ける
7.施行期日
・2及び5:令和4年4月1日
・1、3及び6:公布日から1年6ヵ月を超えない範囲内で政令で定める日(ただし、6の(2)については公布日から3ヵ月を超えない範囲内で政令で定める日)
・4:令和5年4月1日 等